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タワーマンションの相続税対策どうなる?

国税庁では、来年1月からタワーマンションの相続税評価額を時価(市場の売買価格)の6割ほどに変えようと考えています。

現在タワーマンションの高層階ほど時価と相続税評価額の差が大きく、富裕層は相続税対策として、時価数億円から十数億円もするタワーマンションの高層階を競って購入しているからです。


これを国税庁は是正したいと思っているわけです。


これから税理士や不動産鑑定士などからヒアリングを行っていくとしていますが、来年1月からの施行は可能なのでしょうか?



●相続税評価額は時価の3割以下


国税庁が2011年~2013年に売買されたマンション343物件を調査したところ、

「相続税評価額は平均で時価の3割ほどになっている」

との試算をしました。


しかし、この国税庁調査は今から10年以上も前の調査で、最近では40階以上の超高層マンションも珍しくないので、その差はさらに大きくなっていると考えられます。


●なぜタワーマンションの相続税評価額は時価より低いのか


相続税評価額は、国税庁の評価基準「財産評価基本通達」によって決められますが、土地の評価額は路線価、建物は固定資産税評価額が基準です。


>土地の相続税評価額・・・路線価または倍率方式


マンションの場合は、敷地面積を総戸数で割った土地の路線価が評価額。高層マンションでは同じ敷地面積に建つ総戸数が大きく、1戸あたりの土地面積は小さくなります。路線価は公示価格の約8割が目安です。


>建物の相続税評価額・・・固定資産税評価額


部屋の面積が同じであれば低層階も高層階も同じ評価額。


建物の固定資産税評価額は自治体が決めますが、再建築価格の約7割が目安です。建物の大きさや築年数、耐震等級などいろいろな要素によって変わります。


2017年の法改正で2018年以降に新築した20階以上のタワーマンションでは、固定資産税などの税率が高層階になるに従って上がりました。


しかし、時価との乖離に比べれば少ないものです。

(補正率は、中間階を基準に1階増すごとに0.2564%を加算する。1階減るごとに0.2564%を減算する。つまり40階建てであれば、1階に比べ最上階は約10%税率が高くなるという計算です。)


●税制優遇措置

そもそも不動産に対する相続税評価額には各種税制優遇措置があります。


同居している相続人などがその住居を相続した場合であれば、その土地の評価額は8分の1(330㎡以下に適用)となります。


また賃貸としている住居を相続した場合であれば、その土地の評価額は2分の1(200㎡以下に適用)になります。


さらに相続した不動産を売却して売却益がでた場合には譲渡所得税がかかりますが、居住用であれば「居住用財産の3000万円特別控除」が適用できます。


これらの税制優遇措置は、タワーマンションでも同じです。


●あからさまな節税対策は別


90歳を超す被相続人がタワーマンションを2件13.8億円で購入しました。


この被相続人が亡くなり、相続人らがこれらのタワーマンションの相続税評価額を3.3億円と見積もり、さらに銀行からの借入金があることから、納入する相続税額をゼロとして申告しました。


しかし、国税庁はこのタワーマンションの不動産評価額を12.7億円とし、相続税評価額は実勢価格(国税庁が見積もった不動産評価額12.7億円)が適当として、約3億円の追徴課税をしました。


これは最高裁まで争われましたが、昨年4月にあからさまな節税対策であったとして、国側の勝訴となりました。





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