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おひとり様の相続対策と認知症対策

高齢者(65歳以上)で一人暮らしの人の割合は年々増加していて、2024年の厚労省データでは22.4%が単独世帯(一人暮らし)で、夫婦のみの世帯(配偶者が亡くなれば一人暮らしとなるおひとり様候補)では40.4%となっています。


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この傾向は今後も続くとみられ、高齢者にとって「おひとり様」になることがあたりまえの世の中となってきました。


そこで今回のブログでは「おひとり様の相続対策と認知症対策」について3つのケースでのキーポイントを説明したいと思います。


1おひとり様(法定相続人が誰もいない場合)


・法定相続人とは、法律(民法)で定められた相続人のことで、第1順位が配偶者と子(子が亡くなっている場合でもさらにその子、つまり孫がいれば代襲相続人という法定相続人となる)、第2順位が両親や祖父母、第3順位が兄弟姉妹(亡くなっている場合はその代襲相続人の姪や甥)を指しますが、これらの法定相続人が誰もいないおひとり様も多くいます。


・法定相続人が誰もいない場合で亡くなると、遺産は所定の手続きを経て国庫に帰属されます。


ただし遺言書を作成しておけば、お世話になった特定な人や老人ホーム、福祉施設などに寄付することも可能です。


・遺言書をのこす場合、間違いや紛失・改竄の恐れがない公正証書遺言にするのが良いと思います。


公正証書遺言を作成するには公証役場で司法書士や弁護士に依頼します。費用は遺す資産価格に比例して高くなりますが、一般的には10万円前後です。もっと安価に済ませたい場合は自筆で遺言書を作成する自筆証書遺言とし、法務局に預けることもできます。


この場合は3,900円の保管料だけで済みます。

ただし、決められたルールできちんと書かないと受け取ってくれません。


決められたルールの書き方は法務省のホームページ「自筆証書遺言書保管制度」(https://www.moj.go.jp/MINJI/minji03_00051.html)を参照してください。


・遺言書では、遺言執行者を決めておくことや、士業の人と死後事務委任契約を結んで遺言書に記載しておくことが重要です。ネット証券やネット銀行にデジタル資産を持っていたり、自宅やアパートなどの不動産を持っている場合は、それらの管理の仕方や現金化する方法も予め相談しておきましょう。


・認知症への対策も重要です。厚労省が発表している年齢別の認知症有病率を見ると、85歳から89歳で44.3%、90歳以上では64.2%の人が認知症とみなされています。認知症にならないため、あるいは認知症になるのを少しでも遅らせるためには、


①社会との繋がりを持つ

②規則正しい生活とバランスのとれた食事をとる

③趣味を持つ、生きがいを見つける

④軽い運動を毎日続ける


などが挙げられています。


・認知症とみなされると、契約ごとは全てできなくなります。遺言書を書くこともできません(書いても法的に有効とみなされない可能性が高い)。


・認知症になる前に有料老人ホームなどの高齢者施設へ入所するか、信頼できる人や弁護士、司法書士など士業の人と以下のような契約を結んでおくと安心です。


①見守り契約(孤立死などを防ぐため定期的な連絡や確認をしてもらう) 

②財産管理等委任契約(認知症になる前に財産管理を委任する) 

③任意後見契約(認知症になった後、財産管理や身上監護を行ってもらう人を予め決めておく)


2.おひとり様(子がおらず、独身か又は配偶者に先立たれた場合)


・配偶者も子もおらず両親も既に他界している場合は、第3順位である兄弟姉妹(または代襲相続人の姪や甥)が法定相続人になります。


・予期せずに兄弟姉妹や代襲相続人となった姪や甥などに、自分の遺産全てが渡ってしまうことすらありえます。


それを避けるためには遺言書の作成が必要です。


・遺言書の作成方法や、その他の関連契約については1項を参考にしてください。


・認知症への対策も必須です。夫婦2人で元気に暮らしていてもその配偶者が亡くなると、そのショックなどもあって余り外出せず、1日中テレビを見ているだけという人を見かけます。このような人は認知症になる確率が高くなります。


・認知症への取り組みなどは1項を参考にしてください。



3.おひとり様(子は別居していて、配偶者に先立たれた場合)


・子は独立して別居し、配偶者と二人で暮らしている世帯はとても多くあります(高齢者の家族形態の図を参照)。


子は別居していても同居でも第1順位の法定相続人になるので、遺言書がない場合では子(またはその代襲相続人)に全ての遺産(借金などの負の遺産も含む)が遺贈されます。子や代襲相続人が複数いれば、その間で遺産分割することになります。


・法定相続人以外の人や福祉施設などに自分の遺産の一部を遺したい場合は遺言書を作成して指定すれば可能です。


また遺産分割で揉めないためにも遺言書の作成が重要になります。


・子は別居していても連絡を密にとって、遺言書を作成する際には全ての子どもたちを集めて事前に相談することをお勧めします。


せっかく遺産分割で揉めないようにと遺言書を作成しても、逆に揉め事をつくる火種にならないとも限りません。


・遺言書の作成方法や、その他の関連契約については1項を参考にしてください。

・認知症への対策も同様に重要なので、1項を参考にしてください。

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