「毎月分配型の投資信託」がNISAで選べるようになる?
- ファイナンシャルプランナー村川賢
- 11月13日
- 読了時間: 3分
<なぜ選べないの?シニア世代からは人気でも注意したいポイントとは>
今のNISA制度では、「成長投資枠」でも「つみたて投資枠」でも「毎月分配型の投資信託」を選べません。しかし、シニア世代からは「毎月分配型の投資信託」をNISA枠に入れて欲しいという要望があります。
つまり「年金だけだとちょっと生活が苦しい。毎月おこづかいみたいにお金がもらえたら安心。」と言った声を耳にします。
ではなぜ金融庁は「毎月分配型の投資信託」をNISA枠からはずしたのでしょうか。その理由とそれに代わる方法を解説します。
1.「毎月分配型の投資信託」とはどんな商品?
「毎月分配型の投資信託」とは、毎月決まった分配金を受け取れるタイプの投資信託です。
毎月分配金が入るたびに運用がうまくいっていると錯覚しがちですが、利益=分配金ではないことに注意が必要です。
つまり、利益から分配金を出している「普通分配金」と元本を取り崩して支払われる「元本払戻金(特別分配金)」があるのです。運用が拙く利益が出ていなくても自分の身を削って(元本に相当する基準価格がその分下がる)分配金を払っている投資信託を主に指します。
・NISA制度は長期的に資産を大きく増やすのが目的です。
「毎月分配型の投資信託」はお金を増やすより取り崩す方向が強いため制度の目的に合いません。また、投資信託の最大の強みは再投資により複利効果が得られることです。
これは長期になればなるほど複利効果が大きくなって資産が増えます。
ところが毎月分配型ではその分配金を使ってしまうことが多く、資産を増やすことにならないのです。

2.シニア世代の要求に答えた「定額引き出しサービス」とは
それでも公的年金だけでは不足を感じているシニア世代には、毎月分配されるお金には魅力を感じてしまいます。
そんな要求にこたえた仕組みとして、若いころから積み立てた投資信託から、毎月定額を自動で引き出せる「定額引き出しサービス」があります。
この仕組みを導入している証券会社はSBI証券(NISA対応予定)、楽天証券(NISA対応済み)などですがこの仕組みを提供する証券会社は増えつつあるようです。
この「定額引き出しサービス」は「毎月分配型」と似ていますが、仕組みも目的も違います。その違いを表にまとめてみました。

NISAは長期に渡って自分の資産を育てる制度です。でもシニアの年代になってその資産から少しずつ取り崩して生活費の補助とする必要が出てくるかもしれません。
そんな場合には「定額引き出しサービス」がお勧めです。
ただし注意点として一度引き出した資金を再びNISAに戻すことはできません。現在積み立て中の投資信託からはこの設定はできません。
また引き出し額を多くし過ぎると老後の資産が足りなくなってしまう恐れがあります。
資金計画を上手に設定して老後も安心して暮らせるようにしましょう。




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