高齢者(65歳以上)になってもまだ現役でバリバリ働いている人もいますが、高齢者の41.7%は年金のみで暮らしています(2024年厚労省調べ)。
また、高齢になって仕事をするのが難しくなれば、収入は年金に頼らざるを得なくなります。
その年金について、将来どのようになるのか、公的年金の仕組みと年金部会などで議論されている年金改革について簡単に紹介します。

1.国民年金(老齢基礎年金)
国民年金の受給額は、
2025年度の満額として831,696円(69,308円/月、前年度比+1,308円)
昭和31年4月2日以降生まれの人は829,296円(69,108円/月、前年度比+1,300円)に決まりました。
この金額は物価水準や平均賃金の変動率と人口減少による保険料収入の減少(マクロ経済スライド)から毎年見直されます。
今年で3年連続して上昇しました。
満額受給の条件は、
原則20歳から60歳になるまでの40年間(年金改革では65歳までの45年間へ延長が議論されている)にわたり国民年金保険料(2024年4月から月額16,980円)を払い続けた場合です。
もし未納期間や免除期間(全額免除、3/4免除、半額免除、1/4免除)があればその分が減額されます。
ただし、60歳以降65歳になるまでに任意加入することで不足分を補うことができます。
また10年以内であれば追納(後から納付をすること)で補うこともできます。
国民年金を受け取るためには、最低10年間の納付期間が必要です。
老齢基礎年金は65歳が受給開始年齢となりますが、75歳まで1ヶ月単位で受給時期を繰り下げる(遅らせる)ことができます。
受給開始時期により繰下げ月数×0.7%(最大84%)が増額され、一生同額が受け取れます。また60歳まで1ヶ月単位で受給時期を繰り上げる(早める)ことができます。
この場合は繰上げ月数×0.4%(最大24%)(昭和37年4月1日以前生まれでは月数
×0.5%)が減額され、一生同額となります。
2. 厚生年金(老齢厚生年金)
会社員や公務員の人は、厚生年金保険に加入しその給与に応じた保険料を支払うことで、老後(原則65歳以上)に老齢厚生年金(老齢基礎年金を含む)を受け取ることができます。
厚生年金保険料は労使折半と言って雇用者側と労働者側が半分ずつ支払います。
保険料率は標準報酬月額及び賞与額の18.3%(個人の負担は9.15%)で、それぞれに上限があります。
厚労省が発表している令和4年度の厚生年金受給額(国民年金受給額を含む)の平均額は、男性が163,875円、女性が104,878円、全体では143,973円となっています。
厚生年金も国民年金と同様に繰下げ、繰上げが可能で、その増額や減額の割合も同じです。
60歳以上で一定以上の賃金を得ている人が老齢厚生年金を受け取る場合に、年金額を減額または全額支給停止にする仕組みがあります(これを在職老齢年金制度と言います)。
老齢基礎年金にはこの仕組みはありません。
年金改革では、月当たりの支給停止基準額(老齢厚生年金+給与)を50万円から62万円に引き上げる案と制度自身を廃止する案がでていますがまとまっていません。
厚生年金への加入条件は、厚生年金の適用を受けている事業者に勤務する会社員や公務員で70歳未満の方などです。
パートやアルバイトなどの短時間労働者は、基本的には労働日数が一般社員の4分の3以上が対象ですが、以下ような条件を満たせば加入が可能です。
①従業員51人以上の会社に勤めていること(2024年10月以降)
②週20時間以上働いていること
③月額賃金が8.8万円以上(年収106万円以上)であること
④2か月を越えて雇用される見込みであること
⑤学生でないこと
年金改革の議論では、①の事業規模を撤廃する案などが出ていますが、小規模企業などでは労使折半の保険料支払などで経営上厳しいところが多く、当面(少なくても2~3年)は同条件となりそうです。
3. その他の年金
老後に国民年金や厚生年金だけが収入であれば、生活する上で不足する場合がでてきます。
老後にかかる日常生活費は、生命保険文化センターによる令和4年度アンケート調査によると、
夫婦2人で平均23.2万円/月
ゆとりある生活費としては平均37.9万年/月
が必要となっています。
単身無職世帯では平均15.8万円/月です。
厚生年金保険に加入していない個人事業者や非正規雇用者などは、国民年金基金や小規模企業共済への加入、付加年金による国民年金の上乗せが必要です。
さらにゆとりある老後の生活にはiDeCo(個人型確定拠出年金)、NISA、個人年金保険への加入など公的年金以外での私的年金の積み立てが必要になってきます。
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