米国株(S&P500指数など)は、コロナショック以降から昨年末までほとんど一直線に上がってきました。しかし今年に入って大きく下落しています。
これは9%近い高インフレ抑制のために、FRBによる政策金利の大幅な利上げ(0.75%~0.5%幅で年末3%程度までを目指す)によって、景気の急速な落ち込み懸念が主な原因です。
それでは、このまま米国株投資を続けて良いか不安な方もいらっしゃると思いますので、筆者のコメントを述べたいと思います。
●日本では円安に助けられている
今年の3月以降、ドルに対して急速な円安となっています。2月末までは1ドル115円だった為替レートは、7月7日現在では1ドル135円と20円も円安になっています。この理由は日銀がゼロ金利政策を止めようとせず、日本国債と米国債との金利差が大きくなっているからです。この円安が功を奏して、実は米国株の下落が日本では緩和され、米国での下落ほど大きく下がっていません。
グラフ左から:S&P500指数・1547上場米国(S&P500)ETF・三菱UFJ国際e-MAX Slim米国株式(S&P500)全てSBI証券からの抜粋
米国株全体の動向を表しているS&P500指数と日本で販売している「1547上場米国(S&P500 )ETF」や「三菱UFJ国際e-MAX Slim米国株式(S&P500)」のグラフを比べて見てください。その下落幅の違いが分かると思います。これら以外の米国株インデックスファンドやETFでも同様です。
●今後の為替相場と米国株の見通し
ドル/円の為替相場の見通しとしては、円安は暫く続くでしょう。日銀はゼロ金利政策を止められず、FRBはインフレが程よい数値(2%程度)に落ち着くまで、利上げのペースを崩さない強気の姿勢だからです。円安によって、ドル建て(ドル資産)のものは日本円で値上がりします。ただし、この円安が現在の1ドル135円近辺で推移するのか、1ドル150円くらいまですすむのか断定はできません。
米国株の見通しとしては、米国景気次第になるでしょう。ほどよく景気が悪くなりインフレ率が低下してくれば、株価は大きく上昇に転じてくると思います。一方、急激な景気の落ち込みにより企業業績が悪くなるか、インフレの高止まりが続く場合は、さらに下落する可能性はあります。日経平均株価なども米国株の動向に左右されます。
●コツコツと積立投資がお勧め
米国株だけでなく、日本や世界中の株価が荒い値動きをしています。個人投資家の王道は、「長期」と「分散」です。複数の信託報酬の低いインデックスファンドなどに分散して、コツコツと積立投資を継続することをお勧めします。値動きが荒い相場ではドルコスト平均法が強い味方です。つみたてNISAやiDeCoなどの非課税制度もフルに活用しましょう。
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