ファイナンシャルプランナー村川賢

2020年4月15日3 分

民法改正で4月1日から世の中がこう変わります(2回目) 


 
2月のブログで4月1日から施行される民法(債権法、相続法)や労働法の
 
重要な改正ポイントを紹介しましたが、今月のブログでも前回で紹介しきれな
 
かった重要で身近な改正ポイントをご紹介します。


 
1.債権法 「瑕疵担保責任」から「契約不適合責任」に変わりました
 

「瑕疵担保責任」という言葉を聞いたことがあると思いますが、この言葉が
 
消えて「契約不適合責任」という言葉に変わりました。


 
 もともと「瑕疵」という言葉が分かりづらく馴染めませんでした。これは本
 
来持っている性能や性質を備えていないことを意味しますが、売買契約などで
 
売主が買主に対して「1年間の瑕疵担保責任がある」などの表現で使いました
 

例えば、家を購入してから1年も経たないうちに雨漏りがあったとすると、
 
買主は売主に対して「瑕疵担保責任」として「損害賠償請求」や「契約の解除
 
」ができました。今回の改正で「契約不適合責任がある」という表現に変わり
 
ますが、従来と同様に「損害賠償」や「契約の解除」ができ、さらに「履行の
 
追完請求」や「代金減額請求」ができるようになります。


 
 表現が分かりやすくなって、責任追及方法が増えたと言えます。


 
2.債権法 「短期消滅時効」が廃止され、原則5年で統一されました
 

「消滅時効」あるいは単に「時効」という言葉をご存じだと思いますが、決
 
められた期間が過ぎるとその債権の効力が無くなることを意味します。例えば
 
、飲食店のツケは1年が時効でした。

もし「今夜の飲み代は会社のツケにしておいてくれ!」と言って客が立ち去った後、店主がその飲み代を客の会社に1年以上請求しないと法律的には無効となりました。その他、輸送費や旅館の宿泊費、演芸人の報酬なども時効期間が1年でした。また2年や3年の「消滅時
 
効」のものも多数ありました。これらの「短期消滅時効」が廃止され、従来10年の時効期間であったものも含めて、すべて原則5年が時効期間となりました。


 
3.債権法 法定利率が当面3%になりました
 

当事者間で明確な利率の契約がない場合などでは法定利率が適用されます。
 

法定利率の値は、

従来では民事が5%、商事が6%でした。

これがすべて3%に統一されました。

例えば、交通事故の損害賠償金を加害者に請求する場合、
 
従来では訴訟を起こすまでに1年、裁判で決着がつくのに3年かかったとする
 
と、弁護士は5%×4年=20%を上乗せして請求しました。

それが、3%×4年=12%の上乗せとなります。
 
この法定利率の値は3年ごとに見直されることになりました。
 

4.相続法 「自筆証書遺言」を法務局で保管することができます
 

 
遺言には、自筆で作成する「自筆証書遺言」、公証人に依頼して作成してもらい公証役場で保管する「公正証書遺言」、公証人の前で自分で作成する「秘密証書遺言」の3種類があります。

「自筆証書遺言」は費用もかからず手軽に作成できるメリットがありますが、開封時には家裁による検認が必要で、形式を間違えると遺言自体が無効になります。また保管場所が難しく、保管中に紛失してしまったたり、相続人に見られて改ざんされたりするリスクもあります。
 

7月10日からの施行になりますが、自筆証書遺言を法務局で保管してもらえるようになりました。その際に形式のチェックも行うため、形式を間違えて無効となるリスクもなくなります。これにより家裁での検認も必要なくなります。