ファイナンシャルプランナー村川賢

2022年4月13日3 分

4月から変わった年金制度と年金額

今年の4月から年金制度が改正されました。

(参考:日本年金機構 https://www.nenkin.go.jp/oshirase/topics/2022/0401.html) 

それらの改正されたなかから重要な項目を分かりやすく説明します。また、年金額も改定になったのでお伝えします。

●繰下げ受給の上限年齢引き上げ

老齢年金(老齢基礎年金、老齢厚生年金)の繰下げ受給の上限年齢が、70歳から75歳に引き上げられました。今年の3月31日時点で70歳に達していない人が対象です。

増額率は従来通り1か月毎に0.7%ですから、仮に最大限(75歳まで)繰り下げたとすると84%の増額となり、それが一生続きます。生活資金に余裕があり、長生きに自信のある方はチャレンジしてみてはどうでしょう。受給条件が揃っていれば、1か月毎に受給開始を変更できます。

注意点としては、繰下げ待機期間中は加給年金や振替加算は受取れず、またそれらを受取るようになっても増額しません。また、退職共済年金など他の老齢厚生年金を受け取ることが出来る人は、すべて同時に繰下げ受給の請求をしなければなりません。

●繰上げ受給の減額率の見直し

繰上げ受給をする場合の減額率が、0.5%/月から0.4%/月に変わりました。今年の3月31日時点で60歳に達していない人が対象です。

1か月毎に繰上請求が可能ですが、仮に最大限(60歳になって直ぐ)に繰り上げたとすると24%の減額となります(従来は30%の減額)。年金は早くに欲しいですが、減額された年金額は一生続き、途中で変更できません。

注意点で特に気を付けなければならない点を挙げます。原則として老齢基礎年金と老齢厚生年金は同時に繰上請求する必要があります。退職共済年金等がある場合も、原則同時に繰上請求します。国民年金の任意加入や保険料の追納はできなくなります。

65歳になるまでの間、雇用保険の基本手当や高年齢雇用継続給付が支給される場合、老齢厚生年金の一部または全部が支給停止になる場合があります。また、遺族厚生年金や遺族共済年金などを受け取っている場合は、併用受給はできません。どれか一つの選択受給です。

●在職老齢年金

 在職中に老齢厚生年金を受給している人は、年金額と総報酬月額相当額(給与とボーナスを合わせて12で割った額)の合計額が一定の基準を超えると、年金の一部または全部が支給停止になります。この基準が60歳から65歳未満で28万円でしたが、65歳以上と同じ基準の47万円に統一されます。

●令和4年度の年金額改定

 年金の支給額は昨年度から0.4%の引き下げとなります。根拠は以下の改訂ルールに則っています。

「名目手取り賃金変動率(▲0.4%)が、物価変動率(▲0.2%)を下回った場合には、名目手取り賃金変動率を用いる。賃金や物価による改定率がマイナスの場合には、マクロ経済スライドによる調整は行いません。」(紙面の都合上説明は省略します)